怪物 

僕の中には怪物が住んでいた。
僕の怪物はほかの誰よりも強かった。
僕の怪物はどんどん大きくなっていく。

これは、浦沢直樹のMONSTERの中のなまえのないかいぶつだが、
自己愛の話だが、理解している人はいただろうか?

愛されたという欲求は自分自身を優秀に見せたくなってくる。

学校という社会では、親に、教師に優秀な生徒という見せたい私。
教師は、優秀な学校という見せたい私。
親は、優秀な子供を持っているという私。

私の怪物はどんどん大きくなっていく。
むしゃ、むしゃ、がぶがぶ、ごっくん。

やがて、他人を食い殺すようになってくる。

見下すもの、横柄になってくるもの、
嫉妬が生まれて、憎悪が生まれてくる。

むかしむかし、ある所に名前のない怪物はいました。
怪物は名前がほしくてほしくて、しかたがありませんでした。

でも、世界は広いので、怪物は二つにかわれて、旅にいきました。一匹は東へ、もう一匹は西へ。東へ行った怪物は村を見つけました。村の入口には鍛冶屋がいました。
「鍛冶屋のおじいさん、僕にあなたの名前をください」
「名前をなんかあげられるものか」
「名前をくれたら、お礼におじいさんの中に入って、力が強くしてあげるよ」
「本当か。力が強くなら、名前をあげよう」
怪物は鍛冶屋のなかに入ってきました。怪物は鍛冶屋のオットーになりました。鍛冶屋のオットーは村の一番の力持。
でも、ある日
「僕を見って、僕を見って、僕の中の怪物はこんなに大きくなったよ」
バリバリ、クシャクシャ、バキバキ、ゴクン。
おなかのすいった怪物はオットーの中から食べてしまいました。
怪物はまた名前のない怪物に逆戻り
靴屋のハンスの中に入っても、バリバリ、クシャクシャ、バキバキ、ゴクン。また名前のない怪物に逆戻り。
狩のトマスの中に入っても、バリバリ、クシャクシャ、バキバキ、ゴクン。やっぱり名前のない怪物に逆戻り。
怪物はお城の中に素敵な名前を捜しに行きました。お城の中には、病気の男の子がいました。
「君の名前を僕にくれたら、強くしてあげるよ」
「病気が治って強くなるなら、名前はあげる」
怪物は男の子の中に入ってきました。男の子はとても元気になりました。王様は大喜び
「王子が元気になった、王子が元気になった」
怪物は男の子の名前が気にいりました。お城の暮らしも気にいりました。だから、おなかがすいても我慢しました。
毎日毎日、おなかがペコペコでも我慢しました。でも、あんまりおなかがすいてしまたんので、
「僕を見って、僕を見って、僕の中の怪物はこんなに大きくなったよ」
男の子は王様も家来もみんな食べてしまいました。
バリバリ、クシャクシャ、バキバキ、ゴクン
だれもいなくなてしまたんので、男の子は旅に行きました。何日も何日も歩き続けて。
ある日、男の子は西へ行った怪物に出会いました。
「名前がついたよ、素敵な名前なんだ」
西へ行った怪物は言いました。「名前なんて、いらないわ。名前なんてなくても幸せよ。私たちは名前のない怪物ですもの」
男の子は西へ行った怪物を食べてしまいました。
せっかく名前はついたのに、名前を呼んでいる人はいなくなりました。
『ヨハン』素敵な名前なのに。


私とは誰だ?

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