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シュタイナーの悪について 

 「なぜクモがこんなにイヤなのでしょうか。」
   「なぜならあなたの存在そのものがクモだからです。」

   こんな会話をシュタイナーが弟子のひとりと交わしていた、と以前
  きいたことがある。ずいぶんの以前のことだが、かなり強烈な印象と
  なってあとに残った。私の中で悪のことが問題になってから、この会
  話は悪を語っている、と思うようになった。
   「なぜ悪がこんなにイヤなのでしょうか。」
   「なぜならあなたの存在そのものが悪だからです。」

   本書は、現代という過酷な時代を生きるわれわれ一人ひとりが悪そ
  のものであることを、さまざまな観点から論じているが、そうでなけ
  ればならない理由も、はっきり語っている。しかしそうだからといっ
  て、善を否定して、悪を肯定せよ、と主張しているのではない。その
  反対である。
  (シュタイナー『悪について』 訳者(高橋巌)あとがきより
   春秋社 2012.2.15.発行)


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